ххх 例えば話しをしている時には側頭連合野の一部しか脳は働きませんが,言葉と発話について同時に考えている時は脳の違った色々な部分が働くのです(図6). 思いたったことをそのまま話すより,内容を考えてから言葉を選びながら発話をすることが,脳をより活性化させることができるのです. 話し上手な人,人を感動させるスピーチができる人はこれらの部分が活発に働いているのです. このように物事を考えることを続け,くり返すことでニューロン網(ネットワーク)が形成されていきます. 研究などで一つことを追い求める時はアセチルコリンの働きで頭が冴えて集中し,あらゆる方面から考える時などはニューロンネツトワークを最大限働かせ,さらに,結果である新情報は新記憶と旧記憶のネットワーク形成をする. そして,結論が出たときはドーパミンにより達成感に満足し,学会発表で再びドーパミンが出て,理論が評価された時にはアンダナミンによる陶酔感を覚え,論文にして後で読み返すときはエンドロフィンによる達成感を味あう. こんな図式ではないでしょうか. 増齢に伴なって脳細胞は死滅していきますので,記憶力は落ちていきます. しかし,昔から老人の知恵を借りろと言われますが,物事の情報を整理して総合的に考えるはたらきはニューロンの形成によるということです. 70歳まではこの総合判断力は形成されますから,わからないことがあったら老人の意見を聞くのもいいものです. (図6)ニューロンネットワークの一例で,話している時と言葉と発話について考えている時では脳のはたらきが異なり, 赤くなっている部分がシナプス伝達が活発に活動し,ニューロン網を形成している. このように過去の記憶である,言葉,発話,経験,情動などををたどりながら多くの部で脳は働く. このように,情報伝達がくり返し行われシナプスが強固に連結すると長期記憶と呼ばれる記憶になります. 一般的に長期記憶をするためには何度もくり返し脳に反復刺激を与えるのが良いとされています. 覚えたいことを何度も紙に書き写したり,ぶつぶつと口で唱えたりするのはそのためです.ひとにより,1度で覚えられる人,10回で覚えられる人,など様々です. (2) 右脳と左脳 ニューロンの情報処理ネットワーク網がどれだけ緊密に張り巡らされているかが、脳の働きの良し悪しを左右していると考えられています. 大脳半球の左側を左脳,右側を右脳といいます(図7). 左脳は優位半球または言語脳と呼ばれ,身体右半分の運動や知覚を支配し,言語,会話,概念,計算,声や音の認知,論理的思考などを司ります. 右脳は空間・感性的でイメージ脳と呼ばれ,身体左半分の運動や知覚を支配,イメージ,図形,音楽,表情を読み取る,視覚的情報の総合把握・直感的思考やなどを司っています. 将棋の天才棋士は、頭の中を盤面がビデオの早送りのように高速回転し,一局丸ごと記憶しているといわれます. 右脳を使いイメージとして覚えているので直感的ひらめきをプラスでき,誰も予想できない一手を打つことができるのです. 日本サッカーの司令塔を担うプレーヤーは、空間把握力と瞬間判断力が優れているといわれます. 空間把握力は右脳の役割で,優れた瞬間判断力は左脳に蓄積された知識や経験などいくつもの出来事を同時に判断できる右脳で処理することによりはじめて可能になるのです. (図7)思索家型は左脳,特に前頭葉をよくはたらかせる論理的・抽象的に考え,芸術家型は右脳と左脳間の交流が強く,いろいろなものごとを関連付けて考えます. 勉強するときは両方の脳を使います. 脳のはたらきは何をやるかによって右と左のはたらきがすこしづつ違うのですが,右手でボールを投げたり,右手でおはしを使うようにな「右手をたくさん使う人」はほとんどが左脳の前のほうで言葉をしゃべったり人の話を聞いたりしてます. 右脳は相手の気持ちがわかるようになっているようです. 「おとうさん・おかあさんは今日はきげんが良いなあ」とかは右側の脳の前のほうがはたらいていることがわかってきました. 音楽などはその聞き方で脳のはたらく場所を変えることができます. 音楽のメロディーを聞こうとすると右脳がはたらいて,音楽の歌詞とか音符のことを考えながら聞くと左側がはたらきます. 脳のはたらきはまだまだわからないこともありますが、どうやら右も左もちゃんとつかっているようです. 人は年を取るにつれ左脳だけを酷使し,右脳を使わなくなるといわれています. 社会の規律も人類の経験的な暗黙のルールで,発生は人とその家族からですので,左脳の分野かもしれません. イメージで社会規律は理解できません. 人それぞれのイメージがあるのですから. 左脳だけでも70歳までは総合判断力は形成されます. それ故,右脳をで養ったイメージ経験もひとつの社会のシステムでは到達・緩和されて社会ルールを考える左脳の機能が優先し,要求してきたからですが,使わなくなってしまった右脳にはパワーが秘められています. もっと右脳を使うことも必要です. 苦痛を強いる反復は脳の働きを低下させ、記憶の効率も悪くなるという悪循環をひき起こしてしまいます. こども期に無理矢理机の前に座らせて勉強させたり,叱りながら勉強させる(気持ちもわかりますが)ことより,自発的に勉強ができる体性に持っていくのがいいでしょう. 幼児期は母親との会話を欲します.台所で炊事をしながら,幼児に読み書きを気長に楽しく教えたり,クイズ的に物事を教えるのも効果的です.幼児期からこども期に移行する時には本を読み,理解する楽しみを教えると,その後は独りでに勉強しはじめます. 2) 記憶法 人間は一般的に自身の脳の3〜5%しか使わずに生活しているといわれています.残りの95〜97%のいわゆる潜在能力は,ほとんど使われることがないまま一生を終えてしまいます. 潜在能力を上手に引き出して活用している人が天才や頭が良いと呼ばれる人です. 記憶法により誰でもは脳が持つ2つの特性をうまく活用し,正確な長期記憶を可能にします. 脳が持つ2つの特性とは (1) すでに長期記憶になっている記憶に関連した新情報は長期記憶になりやすいこと, (2) 脳内に伝達される情報が感情的に興味あるものであれば,脳の神経組織はさらに活発に活動することを利用します. 好きなスポーツ選手やアイドルの情報はすぐに記憶できる,空から魚が降ってきたという普通では考えられない経験をした人はその経験をずっと忘れないなどです. 新たに覚えたいことをすでに覚えていて絶対に忘れないことと結びつけて記憶する方法(基礎結合法)がより記憶を延ばします. 例えば,新たに覚えたいことを体の名称(頭、目、鼻、口…)などに結びつけて記憶すると (1) のすでに長期記憶になっている記憶に関連した新情報は長期記憶になりやすいという脳の特性から,無理なく情報を長期記憶にすることができるはずです. このときイメージ力(連想力)があれば (2) の脳内に伝達される情報が感情的に興味あるものであれば、脳の神経組織はさらに活発に活動するという脳の特性を活かします. 具体的には普通では考えられない経験をイメージ力によって連想し,いわば擬似的に特異な経験を作りだすことで,脳の神経細胞を活発に活動させて覚えたい情報を長期記憶へと導いていきます.要は右脳と左脳を同時に使うのです. 基礎結合法を使った覚え方の例として,学校の帰りに買い物(牛肉,タマネギ,白菜,しらたき)を頼んだとします. これを身の頭,目,鼻,口と結びつけ記憶させ,牛に乗って学校に行き,友達とタマネギを剥いて目から,しらたきのような涙が出て,白菜で拭いた. 非現実的でおかしな話ですが,この強烈なイメージがあれば覚えていられます. このように記憶と記憶を結びつけるものは何でもかまいません.こどもが好きなもの,クラスメート,テレビの番組の登場人物,何でもかまいません.右脳の働きを活性化させて潜在能力を引き出す役割も果たします. 面白おかしいイメージを楽しみながら勉強し,楽しいと感じることにより脳の働きが活発になり,勉強の効率もさらにアップしていくという記憶法もおもしろいかもしれません. 3. 感 情のコントロール 1) 心理学からの感情実験 心理学では古典的学説,キャノン・バード説 では人は悲しいから泣く,怖いから逃げるとなりますが,ジェームズ・ランゲ説では泣くから悲しい,逃げるから怖いのだと主張しました. つまり,まず身体の反応がおきてそれを感じることで感情が起こると考えたのです. 顔面フィードバック説とは感情の刺激が顔の表情にまずでて,そこから感情を感じるという説です. また,シャクターの情動二要因理論とはシャクター(1964)は被験者にビタミン剤と称して興奮作用のあるエピネフリン を注射されました. その後,陽気に振る舞うサクラの行動を観察してもらいました. すると被験者が生理的に興奮させられていると知らされている群に比べて,より 幸福に感じました. 逆に怒ったサクラの観察ではより怒りを感じていました. つまり,生理的な喚起に対してそれにたいしてのラベリングすることの2つの要因によって 感情が決まるということです. 同じ興奮でもそれが周りの状況などの認知によって変わってくる ということです. 似た実験に吊り橋実験があります. この実験は男性の被験者に高くて揺れる吊り橋を渡ってもらいます.(怖いから生理的興奮が起こる) 橋の中央で女性がアンケート調査に協力してくださいとアンケートを頼みます. そしてアンケートの回答後,女性が電話番号入りの名詞を渡しました. 同じ事を揺れない橋でも行いました. すると,吊り橋で行った群の方がより電話がかかってきたそうです. つまりドキドキしている→好きなのかも? となったわけです. また別の実験では被験者は20の図形刺激を5回ずつ瞬間呈示された後,新しい図形と比較してどちらが好きか答えてもらい,さらに どちらを先ほど見たかも答えてもらいました. するとどちらを見たか(再認)はできなかったのに,呈示された刺激のほうを 好きと反応することが多かったそうです. つまり,ただ見たという認知的判断なしに感情が生じたと言えます. これを 単純呈示効果(単純接触効果) といいます. この理論と先の認知が関与するという説と対立しています. 感情には怒り,嫉妬,悔しさ・後悔,寂しさ・孤独感,不安,自己嫌悪・罪悪感,虚しさなどがあります.上記の実験群から解るように記憶の善し悪しのニューロンネットワークとは類似して,感情とその表現のニューロンネットワークは異なった脳内物質のシナプス伝達と記憶が絡んでいるようです. 2) ニューロン遮断・回避分析から ニューロンの一部を遮断されると色々な回路に情報が伝わらなくなります. これらは,殴られることによってできる脳の傷(少年院の子供たちの90%が脳の一部に傷があります),体罰や言葉の暴力によって遮断される回路,親が感情で子供を叱ることによる情動を理解できない子供,インスタントやレトルト食品によるバランスのとれない栄養による脳内物質の偏りや環境ホルモンが正常な脳内物質を阻害することが原因です. まちがった情報をすり込むこともよくありません. 歯科でいうなら「悪いことをすると歯医者さんで注射してもらうよ,とか,歯を抜いてもらうよ」などと理解・教育すべきところを,間違った情報伝達と同時に恐怖を妄想させて第三者に押し付けることも善くない言動です. 実際に歯が痛くて歯科医院に来たとたん泣いて騒ぎ立てて,暴れてしまいます. そのようなこどもに限って.虫歯が多いのも事実です. こどもへ理解という脳のニューロンネットワークの形成をさせず,第三者による妄想的恐怖とお菓子などグルタミン酸で脳を沈静化する行為は,言わば「アメとムチ」的な感情コントロール法です. むし歯の多いこどもはこのような教育してきた証とも言えるでしょう.
by kazutoshi_erena
| 2013-04-14 16:42
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